院長ブログ blog

2023.08.29 乳がん検診/結果の見方

まだまだ暑い日が続いていますが体調を崩していませんでしょうか?

秋の健康診断の季節が近づいてきました。10月は乳がん検診啓発月間/ピンクリボン月間、11月は子宮頚がん検診啓発月間です。当院でも昨年同様10月、11月は土曜日の検診枠を増やす予定です。

乳がんは以前は女性の11人に1人が罹患すると言われていましたが最近は検診率の増加もありますが9人に1人が罹患すると言われており決して他人ごとではない身近な病気です。

乳がん検診はマンモグラフィという検査を行います。マンモグラフィは痛いから受けたくない。超音波検査だけで大丈夫ですか?と聞かれることがあります。マンモグラフィは乳房全体を一枚の画にして固定した状態で診断を行うため複数人で同じ画像の確認を行うことが出来ます。実際に検診では2名の医師が確認を行っています。超音波検査も画像は残しますが乳房全体を一枚の画像に収めることはできません。また、超音波の機械を動かしながら検査を行うため検査を行う技師さんの腕の差が検査結果に反映されてしまうリスクがあります。そのため検査結果にばらつきが出てしまう可能性があり現在ではマンモグラフィが検診としてはより精度が高く安定した結果を患者さんに反映できるとされています。一般的にはマンモグラフィで異常が見られた場合にはその位置を中心に超音波検査で精査を行うという流れが最も精度としては良いでしょう。

今回のお題、乳がん検診結果の見方についてです。マンモグラフィの画像では乳腺は白く乳頭から広げた傘の骨の形の様に乳房内に写ります。白い乳腺の間には黒く脂肪組織が写ります。左右差、色調の違い、形の変化などから精密検査が必要かどうか判定していきます。よくみられる所見としては以下のものがあります。

石灰化:骨組みの中に真っ白い塊として見られます。形は小さいものから大きいものまでさまざまです。カルシウムが沈着した状態です。形や分布から良性・悪性の判断をします。がんのごく初期では微小石灰化という特徴的な所見を見ることがあります。この所見は非常に小さいもので超音波では見つけにくい場合があります。

腫瘤:骨組みの形から外れた白い塊として見られます。辺縁の形から良性・悪性の判断をします。

局所非対称陰影(FAD):腫瘤ほどはっきりした塊ではないけどなんだか骨組みとは違う白い塊です。良性・悪性の判断が難しいので超音波検査で確認を行います。

上記の所見の有無や状況から精密検査が必要かどうかを判断します。1~5のカテゴリ分類がされます

カテゴリ1 異常なし

カテゴリ2 所見はあるが明らかに良性のものと判断ができる。精査の必要なし

カテゴリ3 良性の可能性が高いが悪性の可能性を否定できないため念のため精密検査をしましょう

カテゴリ4 悪性の可能性が高い所見があります。早急に精密検査を受けましょう

カテゴリ5 ほぼ悪性の可能性が高い所見です。早急に精密検査を受けましょう。

乳がん検診を1万人受けると400人くらいの方が精密検査を受けましょうと言われます。実際その中で乳がんであった方は20人くらいのようです。乳がんに罹患した方の約半数は自分でしこりなどの自覚症状があり診断されるそうです。検診で診断される乳がんは初期である可能性が高いとも言えます。検診で異常を指摘された場合には放置せず精密検査を受けてください。

乳がんになることを予防することはできません。乳がんは早期発見で非常に治療効果の高い病気でまたゆっくり進行する場合が多い疾患です。だからこそ定期的な検診は重要と思います。この秋に乳がん検診を受けて安心して過ごしましょう。

★マンモグラフィによる検診は40歳以上が推奨されています。若い方は乳腺が発達しており乳腺全体が真っ白く見えてしまうためマンモグラフィでは正確に所見を評価することが難しいです。そのため40歳未満の方では超音波検査による検診を推奨しています。40歳以上でもマンモグラフィで高濃度乳腺と言われた方は乳腺が多く若い方と同様に正確な診断が難しい症例です。超音波検査による検診を追加していただくことでより精度の高い検診となります。当院の超音波技師は熟練した腕を持っていますのでマンモグラフィが出来ない方や適さない方の乳がん検診を安心して受けていただけます。

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