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2023.03.02 月経困難・生理痛のお話し①

以前なら、月経は病気ではないので耐える。鎮痛薬はくせになるから使わない。温めておけば大丈夫。なんて時代でした。

が、今は違います。そもそも月経困難・生理痛とはなんでしょうか。

月経困難の定義は月経に伴う下腹部痛や腰痛、吐き気・頭痛・疲労・脱力感・イライラなどの不快な症状が出て、日常生活に支障が出ることを言います。

症状の原因となっているのがプロスタグランジン(PG)という物質です。月経の際に子宮内膜から産生されます。PGには、子宮を収縮させ内部にたまった出血を出すという重要な役割があるのですが、過剰に産生されると子宮だけでなく様々な部位の痛みとして症状が現れます。またPGには腸管の蠕動を促進させる作用があり、月経になるとおなかが緩くなる場合もあります。PGには発熱をさせる作用もあり若干熱っぽくなり、だるさ等が出ることがあります。さらには血圧を下げる効果もあるので、月経時の立ち眩みや眠気などの症状の原因ともなります。それらの症状により体調が悪くなり精神的な症状へつながると考えられます。

ロキソニンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と言われる鎮痛薬にはPGの産生を抑制させる効果があります。出てしまったものを抑えることができないため鎮痛薬を飲むタイミングが重要になります。限界まで痛くなってから内服しても効果が得られないのはPGがたっぷりと産生されているからです。鎮痛薬で月経困難をコントロールする場合には痛みが弱い時期から1日3回しっかりと内服しておくことが重要です。NSAIDsにはPG産生抑制作用があるためPGによる症状がたくさん該当する方はNSAIDsを選択するといいでしょう。

NSAIDsの他にアセトアミノフェンと言われる成分の鎮痛薬もあります。多くの小児用鎮痛薬に用いられる成分です。脳で痛いと感じる部分に作用し痛いという感覚を鈍くさせる効果があります。このためこちらも限界まで痛くなってから内服しても脳はしっかりと痛いという感覚を発しているためなかなか効果が得られないことがあります。アセトアミノフェンにはPG抑制作用はありません。解熱鎮痛作用はあるためそれ以外の症状が多数ある方はNSAIDsが有用でしょう。

NSAIDsは15歳未満には基本的に投与できません。

2種類の鎮痛薬がありますがどちらも内服をするタイミングが重要です。鎮痛薬をうまく使用することで月経とのお付き合いを楽にすることができます。

②では鎮痛薬が効かない場合にはどうしたらよい?鎮痛薬以外の治療薬などについてお話しします。

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