院長ブログ blog

2023.05.16 更年期障害

更年期障害とはなんでしょうか。代表的な症状としては、ホットフラッシュ・動悸・不眠(入眠障害、中途覚醒、熟睡感がないなど様々)・精神症状(イライラ・落ち込みなど)・集中力の低下・作業効率の低下・関節痛(体中あらゆるところ)・頭痛・胃腸症状など様々な症状が見られます。

更年期障害は一般的に閉経の前後5年、計10年ほど症状が出るといわれています。個人差があるためそれ以上長い場合もあります。エストロゲンと言う女性ホルモンが低下することにより起こる自律神経のバランスの乱れにより症状が出ます。

自律神経とは自分の意思とは関係なく働き続ける神経です。昼間に活発になる交感神経と夜間に活発になる副交感神経があります。このバランスが崩れると様々な体調不良を起こします。

一般的な採血の検査ではこの不調の原因を調べることはできません。自律神経の乱れは、ストレスなどからも起こります。したがって、更年期ではない若いご年齢でも、閉経からかなり時間が経過した方でも更年期症状に似た症状を呈する場合があります。入口(原因)が違うので治療法が異なります。

更年期障害は女性ホルモンの低下による症状なのでホルモン補充療法を行うと速やかに症状が軽減することが期待できます。しかし原因が違った場合、女性ホルモンを補充しても効果は期待できません。実際に更年期障害がおこる時期は家庭や職場の環境が変わりやすい時期とも一致しており、自律神経を乱しやすい時期と重なります。ホルモン補充療法を行っても効果が得られない場合には漢方やプラセンタ注射による対症療法を行い、症状に合わせて治療を変更して対応します。場合により抗不安薬や抗うつ薬などを組み合わせる場合もありますが、なかなか改善が見られない場合には心療内科への受診をお勧めすることがあります。

更年期障害の治療としてホルモン補充療法・漢方療法・プラセンタ注射などをご提案しそれぞれのメリットデメリットをお話したうえでご本人に治療選択をしていただきます。更年期障害は症状の出方も様々ですし、正解の治療はありません。

更年期障害が何十年にもわたり続くということはありません。少ない女性ホルモン状態に体が順応するまでの時期をいかに楽に過ごすかということが治療の目標となります。

ホルモン補充療法はがんになるから、副作用が怖いから使いたくありません。とおっしゃる患者さんもたくさんいらっしゃいます。がんのリスクに関しては乳がんのリスクはほぼ上昇させないことがわかっています。乳がんのリスクが上がるのは10年以上の使用をしている場合で中止後は一般的なリスクまで戻ることがわかっています。現在は乳がんのリスクが少ない薬も出ています。子宮体がんに関しても同じで、一般的な使用方法でリスクを上昇させることはありません。

更年期障害は非常に女性のQOLを落とします。頑張らなければならない時期に頑張れない、楽しみたいのに楽しめない、こんな悪循環がさらに症状を増悪させることがあります。誰にでも起こる更年期です。更年期障害が気になる場合にはご相談ください。

当院でも販売している、高濃度ビタミンCの内服サプリメント、リポCのサイトで更年期障害について少しお話をしています。お時間がある方はみてみてください。

https://lypo-c.jp/magazine/archives/13590

院長ブログ一覧