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2023.03.17 月経困難・生理痛のお話し②

①では痛みや体調不良の原因と鎮痛薬について説明しました。

鎮痛薬が効かない場合にはどうしたらいい?

鎮痛薬にプラスして使用するお薬がいくつかあります。

漢方薬:長く飲まないと効果ないのでは?と思われると思いますが、月経が近くなる時期から2週間程度内服する薬、月経時に内服する薬、継続して内服してほしい薬等があります。月経困難の症状に合わせて選択します。

鎮痙薬:月経時の子宮はギューッと力いっぱい収縮しています。その収縮を弱めるお薬を併用することで症状を緩和することができます。

上記のお薬は月経痛の緩和を期待できますが、月経の量等はあまり変わりません。月経痛に加えて月経量が多い、月経前のPMS/PMDD等の症状がある方はピルがお勧めです。

ピルとはなんでしょうか?

ピルとは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)を合わせたホルモン剤です。

卵胞ホルモンは子宮内膜を作り、妊娠の準備をするホルモンです。排卵した後に出てくるのが黄体ホルモンで子宮内膜をふかふかの状態にして赤ちゃんを迎い入れる準備をするホルモンです。妊娠が成立しないとわかるとどちらのホルモンも減少し月経になります。

女性ホルモンは卵巣から産生されますが、その産生をコントロールしているのは脳です。ピルで外から女性ホルモンを安定的に投与すると脳からの信号が止まり、排卵が止まります。女性ホルモンの量はお薬で一定に保たれているため、内膜が薄い状態を作り=月経量が少なくなり、内膜が薄くなるため月経痛の原因となるPGの産生も少なくなり月経痛が改善します。

PMS/PMDD等は排卵した後に出てくる黄体ホルモンが原因となっているといわれています。ピルを内服することで排卵が止まりますのでPMS/PMDDの改善効果も期待ができます。

日本でピルの承認が下りたのは海外から30年以上遅れてからです。そのため、世代的にはピルに抵抗がある方もいます。ピルは怖いお薬ではありません。月経の周期が安定し予定が立てやすくなったり、月経痛が改善し月経中の仕事・学業への影響がなくなり生活の質(QOL)を上げることができます。

排卵も止まるため避妊効果も出ます。(保険で出されているお薬は月経困難にのみ適応となっています。月経困難のない、避妊を目的としたピルの内服は自費のピルになります)ピルを内服していたら将来的に妊娠しにくくなるって本当ですか?と質問を受けることがあります。そんなことはありません。ピルを内服していても将来的な妊娠率には影響をしないということが分かっています。

1日1錠の内服を習慣化させる必要はありますが、定期的に来る月経におびえながら生活を送ることはなくなります。

ピルを内服できない方もいますのでご希望の方はご相談ください。

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