院長ブログ blog

2022.06.17 子宮頚がん検診

5月から多摩市検診が始まり、今年は昨年より多くの方が検診を受けに来てくださっています。HPVワクチンの積極的勧奨が開始されたこととキャッチアップが始まったため関心度が増してきているのかもしれません。ちなみに令和2年度における多摩市の子宮頚がん検診の受診率は27.0%だそうです(東京都62区市町村の中で16番目、都平均は20.3%)。この数字には会社の健診や個人で受けた人間ドックなどは入っていませんが、東京都が目指す50%の受診率にはまだ遠いなと感じます。

子宮頚がん検診は20歳から2年毎に検診の案内が届きます。どんなことをするの?子宮頚がん検診って必要なの?などの疑問について東京都福祉保健局にわかりやすく説明がありますので参考にしてみてください。

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/joshi-kenkobu/shikyukeigan/

男性経験(性交渉の経験)がないけど子宮頚がん検診は必要ですか?と聞かれることがあります。多くの子宮頚がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染が原因となっており、HPVの感染は性交渉により起きるため男性経験のない方の子宮頚がんのリスクは少なくなります。また、男性経験がない場合、検査のための器具を挿入する際に痛みを伴うことがあるため無理はしなくてもいいと思われます。当院では小さい器具も用意がありますので経験のない方でも検査を受けることが可能です(痛みが強い場合には中止することもあります)。

検診の際にオプションで経腟超音波検査をつけることができます。超音波検査では画像で子宮や卵巣の形態を確認することができるためより精度の高い検診を受けることができます。子宮筋腫・子宮腺筋症など月経のトラブルを引き起こす病態の有無や卵巣腫瘍の有無などを確認することができます。人間ドック等で受ける経腹超音波検査でも子宮・卵巣の評価は可能な場合がありますが、経腟超音波検査ではより近くから子宮・卵巣の評価を行うことが可能となります。(経腟超音波検査が難しい場合、経直腸超音波もしくは経腹超音波検査となる場合があります)

子宮頚がんは早期で発見し治療・治癒が可能な疾患です。私は大学勤務やがんセンター勤務時に、子宮頚がんの治療で大変な思いをしている患者さんをたくさん見てきました。自分よりも年下の若い世代の子もいました。病気の進行によっては子宮全摘をしなければならないこともあり、彼女たちの苦しい想いもたくさん聞いてきました。定期的な検診を受けることにより早期で発見できる可能性が高まります。

婦人科への受診はハードルを高く感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、お家に受診券が届きましたら検診を受けることを考えてみてください。

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